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イスラエルの風
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 「主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者を地の四隅から集められる。」(イザヤ11:12)

 「鉄のカーテン」が崩壊した90年代、イスラエルへの移民数は頂点に達しました。2000年9月に始まった、やむことのないテロの影響から、移民の波は若干穏やかになっていますが、それでも、毎月2、3千人の人々が、新しい祖国の扉をたたきます。今や世界140カ国から続々と移民して来るユダヤ人。その顔ぶれはここ数年、一層色彩豊かになってきました。

 先日、里親プログラムのスタッフが面接した家族は、何と南米はペルーの奥地、アマゾン川の源流に接する村からやって来たユダヤ人一家でした。その風貌はどう見ても南米のインディオ、という感じで、ユダヤ人という民族のバラエティーの豊かさを改めて実感させられたといいます。

 彼らの話によれば、村にはシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)はありませんが、その代わりに、ユダヤ人共同体のリーダー(自治会長のようなもの)を選び、その人の家で集会をもっているそうです。毎週金曜日には、この自治会長宅で安息日の儀式を執り行います。

 リーダーの奥さんがロウソクに火をつけ、リーダーがワインとパンの祝福を祈ります。その後、それを共同体全員で分かち合います。アマゾンの奥地で、安息日が変わることなく延々と守られ、自分たちがユダヤ人であることを知っている彼ら……。ルーツや伝統を失わず、それどころか、共同体全体でそれを守っている……ユダヤ民族のアイデンティティーの強固さは、私たちの価値観を凌駕しています。

 ペルーは貧しい国で、ユダヤ機関からも、あまり救済の手が差し伸べられていません。そうした中、まさにこの一家は着の身着のままの状態でイスラエルに到着しました。大黒柱である父親は、ペルーでは消防士という良い職業に就いていましたが、10年前に長女が生まれたと時、「イスラエル帰還」への強い願望が生まれ、現地での生活を捨ててイスラエルへやって来ました。

 同じく、元・ウクライナ空軍の戦闘機パイロットだった30代半ばの父親も、自分のキャリア、大好きだった職業をすっぱり諦めて、「子どもの将来のために!」と、イスラエルへ移民しました。現在は、イスラエルで警備員の仕事に就いています。

 イスラエルの警備員はまさに命懸けです。防犯はもとより、テロリストに常に目を光らせなければなりません。テロの巻き添えになって死んでいく人も、一人や二人ではありません。男性にとって、30代は好きな分野でバリバリ仕事がしたい時期です。イスラエル空軍に入れたら……という願望はあっても、言葉のハンディーから100%不可能だという現実をよく理解していて、未練がましく思うことも、後悔するそぶりも見せません。

 たとえ過去がどんなに恵まれた状況だったとしても、イスラエルへ帰ってくることには変えられない。家族を支えるためなら、どんな苦しい状況もいとわない。自分の夢、可能性へのチャレンジがないわけではない。しかし、次代を担う子どもたちの未来とは、比べ物にならない……。このペルー出身のユダヤ人夫婦も、ウクライナ出身の父親も、そんな自己犠牲をいとわない、何千という移民両親の典型です。〈情報提供◆里親プログラム〉

 
   
 
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