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イスラエルの風
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B.F.P. Japan 理事長 スティーブンス・栄子 2004年6月

 8人の子どもと22人の孫に囲まれた、弱々しく細い声で語る車椅子の男性。彼こそ、イスラエル軍によって暗殺されたアハメド・ヤシン氏です。どの写真や映像を見ても、優しいおじいちゃんとしか思えません。彼については、“ハマスの霊的リーダー”また、“イスラエルに暗殺された”ということ以外、詳細は報道されていません。彼は一体どんな人物だったのでしょう。どうして車椅子に乗っているのでしょう。なぜイスラエルは、こんなにか弱い、車椅子に乗った、ほとんど目も見えない霊的リーダーを殺したのでしょう。

 ヤシン氏は、アシュケロンの近くにあった漁師の村で生まれ、12歳の時にガザに移住しました。若い時に交通事故に遭い、その時から車椅子に乗っています。1984年、抵抗運動組織をつくり精力的に活動し始めますが、違法武器を多量に貯蔵していたことで、懲役15年の実刑を受けて投獄され、一年後、犯罪者交換で釈放されました。1987年、インティファーダが始まって間もなく、『国際テロ組織ハマス』を結成。1989年には、イスラエルに協力したとして、4人のパレスチナ人を殺害し、その罪で無期懲役の判決を受けました。1994年出獄。再び同犯で投獄。そして1997年、再度出獄しました。

 ヤシン氏は、「神罰を受けて、離散するという『苦い杯』を飲まされているイスラエルが、パレスチナ人に『苦い杯』を飲ませることは良くない。」と言っています。これはどういう意味なのでしょう。

●離散という「苦い杯」
 イスラム教が生まれてから1300年間。これまでイスラム教徒がユダヤ人を迫害することは、あまりありませんでした。彼らは、「神はみことばをユダヤ人に託したが、従わなかった。そして、神はみことばをクリスチャンに託したが、従わなかった。そのため神は、マホメットを通してみことばをイスラム教徒に与えた。そして、われわれだけが神のみことばに従っている。」と教えています。そして、「ユダヤ人は約束の地から追い出された民族だが、偶像礼拝者ではないから粗末に扱わない。」と考えていました。

 その教えは1700年間続いていました。しかし、ユダヤ人が約束の地に戻ったことで、事態は一変しました。それは、イスラム過激派にとって、決して起こってはならない出来事だったのです。なぜなら、ユダヤ人の帰還は、アッラーの教えが間違っている証明になってしまうからです。聖書には、「祖先の地、約束の地に、必ずユダヤ人を連れ戻す」と書かれていますが、その預言の成就こそ、神が今もユダヤ人と交流しておられる証しとなります。彼らにとって、神が唯一コンタクトする相手は、イスラム教徒のみのはずです。

 ですから彼らには「これはサタンの働き」としか考えられないのです。このサタンの働きを打ち壊すために、イスラム過激派は命を懸けることを誓うようになりました。そして、イスラエルを支援するアメリカを「大きなサタン」、イスラエルを「小さなサタン」と呼ぶようになったのです。

●ヤシン氏とランティシ氏
 ヤシン氏の考えは次の通りです。

  1. 「平和」は、パレスチナの土地がわれわれのものとなり、国家を設立し、エルサレムを首都とするまでは決して成就しない。
  2. パレスチナの地に、一つの軍隊、一人の支配者によって成り立つ、イスラム過激派の国を設立する。
 
 
 
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