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イスラエルの風
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BFPイスラエル現地里親プログラムスタッフ B.F.P. Japanイスラエル特派員
大坪 幸子 2003年5月

 堅いイメージのある「イスラエル政府」という言葉。しかし実際は、「イスラエル人が3人集まると4つ政党ができる(それぞれが確固たる意見と主張をもっている)」という複雑怪奇なジョークもあるくらい、興味深いものです。今回は、イスラエルの政治を市民の様子と絡めて、少しご紹介しましょう。

 普通の民主主義国家なら、政党はたいてい「右〜中道〜左」に分けられるようですが、神からかつて律法を授かってしまったイスラエル、21世紀も“普通”とはいきません。「世俗―宗教」という論議も存在し、これが社会に大きな影響を与えています。「安息日にバスを走らせる―走らせない」「豚肉を売ってもよい―いけない」といったことまで、さまざまなことが議論になります。

 そうは言っても、政府は宗教論争に明け暮れているわけではありません。最大の焦点は「和平問題」です。2年半続いたテロで、今では和平案から「中道派」は姿を消し、「右派」か「左派」のどちらかに意見が二分されています。

 「相手の要求どおり土地を割譲しても、平和は来なかったのだから、もうこの方法はだめだ」と右派が言えば、「いや、彼らの要求をさらにのめばうまく行く」と言う左派。相反する主張には、妥協の余地も接点もありません。「どちらに転んでも同じ……」などと、楽観的なことは言っていられません。政権次第で国の運命が変わります。「経済問題なんてぜいたくな悩みだね。イスラエルは未だに、明日国があるかないかが問題だよ。」と自嘲気味の市民。とは言っても、実はこの2年半で経済も壊滅状態。起死回生には奇跡が必要なほどです。

 一政党が過半数を獲得することはまずないため、イスラエルは通常、連立政府となります。そのため、連立入りした少数政党が、議席数以上の力をもってしまうことがあります。その典型が超正統派の政党でした。

 イスラエル社会の世俗的な人々と、宗教的な人々との間には、深い溝があります。超正統派の人々は、兵役義務に就きません。イスラエルは皆兵制で、高卒後3年間の兵役義務があり、終了後も毎年1カ月ほど予備役に召集されます。しかし、超政党派の人々は税金も納めず、むしろ国家予算を自分たちの宗教学校に回し、国家からの扶養家族補助(超正統派は子だくさん)で生活するといった姿を、世俗派市民は長年見続けてきました。国を守っているのも、高額の税金を納めているのも世俗市民ですから、彼らにしてみればこれ以上の矛盾はありません。

 一方、律法の勉強と遵守を使命としている超正統派の側からすると、彼らは自分たちこそユダヤ人として大切な務めを果たしていると自負していますから、この両者には接点がありません。

 
 
 
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