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イスラエルの風
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BFPイスラエル現地里親プログラムスタッフ B.F.P. Japanイスラエル特派員
大坪 幸子 2003年2月

 朝、キッチンでコーヒーを作りながら窓の外に目をやると、雨・雨・雨……。風も強いのでしょう、大きな木が激しく枝を揺すっています。バス停に行く時には小降りだといいな、と思いながらも、こんなにも激しく雨が降っているのがうれしくて、ほおが緩んでしまいました。

 夏の間、一滴も雨が降らないイスラエル。本格的に雨が降る12月から、3月にかけての雨量が勝負です。ここ数年の水不足は深刻で、「雨をください、雨をください」という思いは、私たち外国人スタッフの身体にもすっかり染み込んでしまいました。

 コートを着て支度を終え、外に出ると、空は明るいのに雹のような粒の大雨でした。目が覚めるような冷たい空気に、吐く息は真っ白。太陽の光が雲を優しく貫き、あたりをうっすらと金色に包む中、強風に踊らされながら舞い降りていく滴一つひとつが、ダイヤモンドのように輝いています。あまりの美しさに息を飲みながら、神が雨の一粒ひとつぶをとおして、この地にいっぱいの愛を注いでおられるのを感じました。小雨じゃなくてよかった! 雨に心が弾んでしまうのは、神の愛と眼差しを感じるからなのでしょう。ぬれてしまうのがこんなにうれしいなんて、この国に来るまで思ったこともありませんでした。

 雨が豊富な日本では、菜種梅雨、五月雨、梅雨、時雨、氷雨……など、季節ごとに詩的な名前があり、雨は親しみ深い存在です。が、正直に言えば、雨が悩みの種の時もありますね。降らなければいいのに、と思ったことのない人はいないでしょう。

 3年前、エルサレムで初めての冬(雨季)を迎えたときに、傘を差さないイスラエル人が多いことに私は驚きました。雨が降ったらぬれる、それがどうかしたの? と言わんばかりです。気温が八度くらいなら雨も当然冷たいのですが、髪もジャケットもびっしょりにして、平気で歩いている彼らは、全身で雨を楽しんでいるように見えました。

 また、一年のほとんどが乾季のイスラエルでは、雨を念頭に置いた排水設備は道路に存在しません。側溝がないため、雨水は道路をそのまま流れます。エルサレムは丘の上にまたがる町ですから、坂道だらけです。その坂道を、水は低い所へと流れていきます。交差点で合流する水は、逆巻きながら、さらに低い所を探して進みます。が、所々にある肝心の排水口は、なぜか的外れな所で水を待っているのです! こんな道路を渡るには、潔くぬれる決心をした方が無難です。数え上げるときりがないのですが、これらすべては、一時期しか降らない雨を心行くまで楽しむための設計なのだ、と私は善意に解釈することにしています。実際、イスラエルの雨はなぜか本当に楽しいのです。

 
 
 
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