index_logo
index_visit
Key For The Bible
Now On Sale
australia israel usa canada uk&europe south africa puerto rico australia
israel usa canada uk&europe south africa brazil puerto rico australia ukraine
イスラエルの風
PAGE
1
 


BFPイスラエル現地里親プログラムスタッフ B.F.P. Japanイスラエル特派員
大坪 幸子 2003年1月

 すっかり日も沈んだ夕方五時過ぎ。仕事を終えた私たち各国のボランティアは、数人一緒にバス停でバスを待っていました。街灯で何とか顔が識別できるくらいの夕闇の中、私たちは、たあいもない話をペチャクチャと続けては笑い声を上げていました。と、ある年配の男性が、ちょっと私たちに歩み寄って立ち止まりました。うるさくて気に触ったかな……と心配したのもつかの間、彼はにっこり微笑むと、ゆっくりと離れていきました。彼の方を向いていたのは私だけで、皆は気付かずに、おしゃべりを続けていました。

 ふと気が付くと、10人ほどいたそのバス停で、笑い声を上げていたのは私たちだけ。そういえば、バス停で楽しそうに会話をしている人々を、もう久しく見掛けません。話に花が咲き、一段とはじける笑い声……。暗がりに慣れた目でよく見ると、近くにいた別の人も不思議そうな顔をして私たちを見ていました。それは決して嫌そうな顔ではなく、本当に不思議そうな顔でした。おしゃべりに相づちを打ちながらも、私はここにいるイスラエル人の気持ちに思いをはせました。

終わらない戦い
 彼らにしてみれば、確かに不思議な組み合わせの外国人グループです。でも組み合わせ以上に、何がそんなに楽しいのかが不思議だったのでしょう。今のイスラエル人の心を何が覆っているか、想像できるでしょうか。2年続いたテロが、人々の心にどのような影響を与えているか、想像してみてください。毎日毎日、未然に防がれたテロか、起こってしまったテロのニュースを耳にします。どんな人にも知人や親せきの中に何人かの犠牲者がいます。次はいつ、どこで、誰が巻き込まれるのか分かりません。イスラエルの生活に欠かせないバスは、路線番号を聞いただけで、テロがいつ起こったかを思い出すことができるほど、テロの標的となっています。同じく狙われやすいカフェやレストランは客が減り、すでにその多くが閉鎖に追い込まれてしまいました。半ば戦争状態の今、経済も当然大打撃を受けています。観光産業は落ち込み、失業者は増える一方です。人々の購買力も当然落ち、空き店舗があちこちに増え広がるのを見るにつけ、人々の気持ちはさらに沈みます。

イラク問題
 加えて、暗雲は国内のテロだけではありません。あの同時多発テロに対して、アメリカがテロとの戦いを布告した時から、すでにイスラエルはイラクからの生化学兵器による攻撃を予想していました。以来今日まで、1年以上もイスラエルは、ガスマスクやワクチンなどを用意して生化学兵器対策を進めてきました。ちょっと前にも、マスク配給センターからの帰りなのでしょう、フィルター交換をしたと思われるガスマスクの箱を五つほど(家族の人数分)、肩からぶら下げた主婦がバスに乗るのを見掛けました。軍や医療関係者は、すでに予防接種を済ませています。

 そのイラクは今、国際ニュースのトップ事項ですが、事態がいつどのように展開するのか、市民には読めません。湾岸戦争中、この戦争には何の関係もないこの国に、イラクから39発ものスカッド・ミサイルを撃ち込まれ、今度もまた理不尽な攻撃を覚悟しています。出口の見えない暗闇、二重三重の圧力……、決して笑いはじけられるような空気ではありません。

 
 
 
B.F.P.Japan MAP