数分後、警官と兵士がバス停に現れ、男に身分証明書の提示を求めた途端、男は自爆。最も近くにいた兵士は死亡し、マフミッドや警官を含めて数人が負傷しました。爆発後の報道では、警察は電話連絡を受けて現場に向かった、という情報が流れており、警察も後に、通報は自爆テロリスト本人の電話からのものであったことを確認しました。
「もしマフミッドが警察に通報していなかったら、テロリストがバスに乗り込み、車内かアフラの街中で自爆し、多くの犠牲者を出していたことは間違いない」とイスラエル警察。ウンム・エル‐ファームは、イスラエル市民権をもつアラブ人の町です。ある人はマフミッドの行為を英雄的だと言い、ある人は裏切り者だと言います。
「僕は自分のしたことを後悔していない。もしまた同じような場面に遭遇したら、また同じことをするよ」とマフミッドは話を締めくくりました。
死が救った命
ヨニ・ジャスネールはスコットランド出身のユダヤ人、19歳。家族から離れ、一人イスラエルに留学していました。医学の勉強を終えたら正式に移住し、大勢の人の命を救うのが夢でした。ある週末、友人と一緒にテルアビブに出かけた彼は、バスを襲った爆弾テロに巻き込まれ、頭部に重傷を負い、収容先の病院でその命を終えました。しかし、彼はその死にあって、願いどおり何人かの命を救いました。彼の臓器が三人の患者に贈られたのです。そのうちの一つは、7歳のパレスチナ人少女を救いました。ヨニの弟は、「もしヨニが生き延びることができていたら、願いどおりに医師になって人々を助けていたはずです。でも彼にはもうそれができません。せめてこうして、自分の死と同時に、あるいは引き換えに、彼は誰かを助けることができたんです」と、ひつぎを前に語りました。
ヨニの知らせを受けた母と弟は、スコットランドから急きょイスラエルに駆けつけました。病院で、彼らはヨニに最期の別れを告げるのに間に合いました。「ヨニの容態は最悪だった。でも少なくとも息をしていた。僕たちは彼に話し掛け、彼は僕たちの言葉を聞いていました」とアリ。医師たちはヨニの肝臓を54歳の男性に、すい臓を33歳の男性に移植しました。そして彼の腎臓は、東エルサレムに住む7歳のパレスチナ人少女、ヤスミン・アブ‐ラミラちゃんに移植されました。ヤスミンちゃんはこの2年間、薬による治療に耐え、入院を続けながら切実に腎臓移植を待っていました。
ペタティクヴァにある子ども病院で、無事に移植を終えたヤスミンちゃんの容態は、日々回復しています。ヤスミンちゃんはベッドの上で、ヨニの家族に贈る絵を描き、そこにアラビア語で「ヨニとヤスミン」と書きました。彼女の家族は、ジャスネール家に対するあふれる感謝をとどめることができません。「テロの犠牲になったこの家族に対して、私にはお礼の言葉をかけることができません。彼らの悲しみを、私たちもともに悲しんでいます。でも同時に、娘の命を救ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいなのです」と母ディナは言います。そして、「彼らに、なんとお礼を言っていいのか分かりません。彼らは自分たちの悲劇の中にあっても、ヤスミンを救うことに同意してくれたのです」と祖父のファルークは語ります。「ユダヤ人もアラブ人も、私たちは皆同じ人間です。ヤスミンは今、ユダヤ人から贈られた腎臓で生きています。彼は彼女の一部なのです。ヤスミンはまだ幼すぎて、自分になされたことの偉大さを理解することはできません。でも彼女が大きくなったら、私たちはすべてを話して聞かせるつもりです。」
「ユダヤ人も、アラブ人も、私たちは皆同じ人間……。」 ファルークのこの言葉は真実です。神がこよなく愛される両者の間に、一日も早く平和の架け橋が築かれますよう、聖地エルサレムより日々祈り続けております。
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