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イスラエルの風
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BFPイスラエル現地里親プログラムスタッフ B.F.P. Japanイスラエル特派員
大坪 幸子 2002年12月

 イスラエルの軍事行動が引き起こす被害は逐一報道されても、イスラエル側のテロの犠牲は大きなものでないかぎり、ほとんど報道されないのが常です。それでさえ死傷者の数字以外に何かが伝えられることはありません。ほぼ毎日テロが起こるのが食い止められているイスラエルでは、テロは犠牲者の数字ではなく、日々身をもって向き合い続けている日常です。そのような中から、特に日本では思いもつかないような実話をいくつかお届けいたします。テロリスト本人、テロを防ごうとした人、そしてテロの犠牲者の三者です。彼らの生き方に皆さまは何を思い、どのような祈りへと導かれるでしょうか。

助けられたテロリスト
 ゼイダンは、イスラエルの病院で、一流の治療を受けている20歳のパレスチナ人です。彼の入院の経緯は特異です。彼は、任務遂行に向かう途中、身に着けていた爆弾が誤爆した、自爆テロリストでした。イスラエル人を大量に道連れにするはずだった彼の試みは失敗に終わり、爆弾で負傷したのは彼だけでした。

 皮肉なことに、大勢の死者を出した、あるバス自爆テロの被害者と同じ階で、彼は治療を受けています。あるイスラエル人女性が、集中治療室のベッドに横たわる自分の母親を見守りながら、こう漏らしました。「とてもやり切れないわ。彼らは私たちを殺そうとしているというのに、私たちは彼らの命を助けているのだもの。不条理だわ。」 ゼイダンも皮肉を身に染みて感じています。「医者や看護婦たちは親切だ。でも心の中ではおれを憎んでいるのは分かっているよ。」

 生まれてこの方教え込まれてきたイスラエルへの憎しみと、今、自分に示されているあわれみとのはざまで彼は苦悩しています。将来再び同じことをするかという問いに、「いや、生きるほうを選ぶよ」と彼は答えました。しかし、彼が後悔しているのは、自爆が失敗したという事実だけのようです。「うまくいかなかったのが残念だ。もうパラダイスでのよりよい生活の約束はなくなってしまったんだから。(注・イスラム原理主義では、信仰のために殉教した人、特に自爆テロリストは一直線に天国に行けると教えている)」 向こうの病室にいるイスラエル人のテロ犠牲者について、どう思うか尋ねると、「よくなるといいね」とだけ、彼は答えました。

テロを食い止めたアラブ青年
 ラミ・マフミッドは、17歳、ウンム・エル‐ファームというアラブの町に住む建築労働者です。彼はある自爆現場に居合わせ、数日間意識不明のまま、イスラエルの病院のベッドに横たわっていました。重傷にもかかわらず、自爆テロリストの共犯と見なされた彼の手は、ベッドに手錠でつながれていました。意識が戻ったマフミッドは、警察から事情聴取を受けました。彼の供述の裏が取られたとき、マフミッドはテロ共犯の容疑者から一躍、英雄へと引き上げられました。

 「茶色いシャツを着て黒いバッグを持った怪しい男が(バス停で)僕の横に立っていた」とマフミッド。「なんとなく会話が始まり、彼にどこから来てどこへ行くのか尋ねたんだ。彼は、ジェニンの近くの村出身で、アフラに行くところだ、と答えたけど、なんとなく様子がおかしかったので、彼の携帯を貸してくれないかと頼んだんだ。彼は電話を出しながら、誰にかけるのかと聞いてきたので、ティベリアにいる雇い主にかける、とごまかして警察に電話し、バス停に怪しい人物がいると通報したんだ。」

 
 
 
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