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イスラエルの風
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中村 恵美子 2002年2月
(沖縄県出身 2000年よりB.F.P.フードバンクにフルタイムボランティアとして従事)

 旧市街へ10分。繁華街のベン・イェフダ通りや中心部のヤッフォ通りには5分もかからない……そんな便利な場所に私は住んでいますが、騒音に悩まされたことはほとんどありません。朝は小鳥がさえずり、安息日の夜は、近くのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)からトーラー(律法の書)を読み上げる声が心地良く聞こえてきます。それは、真夜中の12時過ぎまで続くこともあります。

静寂を破る爆音
 このような静けさを破り、12月1日午後11時30分頃、アパート全体が揺れるほどの大きな爆発が起きました。「テロだ!」ととっさに判断した私は、ベットを飛び起きて、同室のルームメイトとともに叫びながら祈りました。

 鳴り止まないサイレンの音を聞き、なぜか、「彼らの近くに行って、彼らの痛み、苦しみ、悲しみ、叫びを共有したい! 彼らの側で祈りたい!」という思いに駆られ、ルームメイトにそのことを話しましたら、彼女も同じ思いでした。

 祈りながら現場に急ぎました。途中、携帯電話で泣きじゃくりながら話している若者数人とすれ違いました。「アバ(お父さん)! アバ!」と泣き叫び、同じところをぐるぐる走って回っている女の子。抱き合って泣いている若者。わが子の名前を呼びながら狂ったように走って現場に向かう母親の姿……。彼らの姿を見ていて、涙が止まりませんでした。

イスラエルならではの光景
 1度爆発を起こし、大勢の人が集まったところを見計らって再び爆発させる……。自爆テロ犯たちはこのように攻撃を仕掛けます。私たちがいた反対側で2度目の爆発がありましたが、通行止めでそこに行くことができなかったのは幸いでした。

 3度目の爆発を予感しながら、私たちは、毎朝通っている横道に入りました。そこには駐車用のメーターが備え付けてあるだけでなく、相乗りタクシーの乗り場もあり、いつも車が数珠つなぎになって止められています。その日も安息日明けで、ぎっしりと駐車されていました。警察の車が逆方向に入ってきて立ち往生していました。

 そこで、イスラエルならではの光景を目にしました。警察の車が通れるように、通りをさえぎっていた車を、黒衣に身を包んだ超正統派のユダヤ教徒十数名が、手で持ち上げて移動し始めたのです。

 「イエスさま、彼らを守ってください! ここに爆弾が仕掛けられて爆発したら、車から車に火が移って大惨事になります。ここにいるすべての人々をお守りください。万が一爆発が起きても、どうぞ最小限に食い止めてください!」と、とっさに祈りました。

危険を背中に感じながら
 今ここで爆発が起きてもおかしくないという予感を感じながら必死で祈り、急いで現場を離れました。そして―爆発が起きたのです! タイヤの焼ける匂いがしました。あれから1分も経っていません。たった今、そこにいて、集まり始めた人々や立ち往生しているパトカーを最前列で見ていたのです。

 
 
 
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