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なぜ「塩」なのでしょうか
 安息日の食事で理解できなかったのが、なぜパンに塩を振り掛けるのかということです。パンを取り、神に感謝をささげる直前に、父親は塩を取り、二つのパンの上に振り掛けます。この行為は、神殿におけるすべての供え物に塩が振り掛けられていたことを思い出させるためなのだと教えられました。レビ記2章13節には、次のように記されています。

 「……あなたのささげ物には、いつでも塩を添えてささげなければならない。」

 ある晩のこと、私は質問しました。「なぜ塩なのですか。塩のもつ意味とは何なのですか?」と。それに対して誰もすぐには返答しませんでした。一週間後、『エルサレム・ポスト』にその話題が掲載されていたので、とても興味深く感じました。私は塩がもつ霊的な重要性を学ぶだけでなく、塩の特性やその歴史を知りたいと思いました。なぜなら、古代の世界においては、今日のように日常的に使用される物質ではなかったことを知っていたからです。塩ははるかに高価なものでした。私たちは聖書の中で用いられている塩の重要性を十分に理解するために、そのことをしっかりと把握しておく必要があります。

塩に関する預言と歴史
 私たちは誰でも、塩には味を引き出す作用があることを知っています。ヨブもそれを知っていました。「味のない物は塩がなくて食べられようか。」(ヨブ6・6)。冷蔵庫が発明される以前、塩は最も価値ある保存料でした。塩水は細菌を脱水して繁殖を阻止し、食物の腐敗を防ぐことができます。塩は生肉から血液や湿気を取り除いて乾燥させ、保存します。エジプトにおいては、ミイラをつくる過程の中でも塩が使われました。

 それだけではありません。塩は私たちが知らなかった多くの力をもっているのです。塩はパン生地にきめ細かさを与え、塩漬けにされた肉に硬さを与え、チーズや他の食べ物を均質にします。オーブンで焼いたもの、漬物、チーズ、夏用のソーセージなどをつくる過程において、塩がその発酵作用を抑えます。塩はまた発色剤としても用いられ、保存用の肉を美味しく見せることができるのです。そして塩の作用でパンを焼くと、素晴らしい黄金色になります。

 もし塩がなければ、私たちの生活は非常に困難なものになっていたことは、容易に想像がつくでしょう。世界中の大海は一千兆トンの50倍の塩を保有していますが、人類全体が必要とする塩の量は、毎年四千万トンに上るというのは驚くべきことです。

 今日の世界では塩は十分にあり、しかも安価です。私たちは当然と考えている向きもありますが、これは大きな祝福です。約百年前、アメリカでは塩をめぐる大きな問題がありました。南北戦争において、北軍が南軍への塩の供給を阻止する作戦をとったのです。1865年には1ポンド(454g)の塩が1ドルもしたのです。古代の世界では、塩は稀にしか見られないもので、非常に高価でした。塩をもっていない国は輸入しなければなりません。

 また、塩に税金が掛けられるのも普通のことでした。紀元一世紀のユダヤ人歴史家・ヨセフスは、彼の時代には塩に税金が掛けられていたと記録しています。黄金の奪い合いよりも塩の奪い合いの戦争のほうが多かったことをご存知でしょうか。塩の大量生産を導入した産業革命の時代になって初めて、塩をめぐる争いは終わったのです。

 
 
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