しかし後世の人々は「ユダヤ人がそうしなかったらこのことは起こらなかった」ととらえ、ユダヤ人をイエスの死の張本人として責めるようになりました。実際は神ご自身がお定めになり、人間的な思惑や感情などもすべて用いられ、起こるべくして起こった出来事なのです。では、どうして教会が歴史的に、このような敵意むき出しの告発を、ユダヤ人に向けるようになったのでしょう。
イエスの裁判と十字架刑の出来事に関する誤解の一つに、クリスチャンの目線を、ユダヤ人の指導者層に向けさせたことが挙げられます。また、教会が成長するにつれ、異邦人の指導者や信徒の数が多くなったことも影響しました。
さらに、ローマ帝国ではユダヤ教が認可される一方、教会は弾圧を受けていたこともあって、ユダヤ教自体に反発するまでになりました。こうして教会は、ユダヤという源から切り離され、ユダヤ人に対する最大の攻撃者となっていきました。
イエスの死にかかわるみことばを正確に読み、文脈に基づいて理解することで、ユダヤ人に対する迫害を生み出した、この悲しむべき歴史の誤解を明らかにしていきたいと思います。
●イエスを死に追いやったのは大祭司と長老たち?
「さて、夜が明けると、祭司長、民の長老たち全員は、イエスを死刑にするために協議した。」(マタイ27:1)
●ユダヤ人はキリスト殺しであり、その罪のために常にのろわれるべき存在?
「……しかし、彼らはますます激しく『十字架につけろ。』と叫び続けた。……すると、民衆はみな答えて言った。『その人の血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい。』」(マタイ27:23、25)
●ポンテオ・ピラトは、バラバの代わりにイエスを釈放するべく努めた、公正なローマの為政者だった?
「ピラトは祭司長たちと指導者たちと民衆とを呼び集め、こう言った。『あなたがたは、この人を、民衆を惑わす者として、私のところに連れて来たけれども、私があなたがたの前で取り調べたところ、あなたがたが訴えているような罪は別に何も見つかりません。ヘロデとても同じです。彼は私たちにこの人を送り返しました。見なさい。この人は、死罪に当たることは、何一つしていません。だから私は、懲らしめたうえで、釈放します。』」(ルカ23:13-16)
「……またユダヤ人たちのところに出て行って、彼らに言った。『私(ピラト)は、あの人には罪を認めません。』」(ヨハネ18:38)
「また、ピラトが裁判の席に着いていたとき、彼の妻が彼のもとに人をやって言わせた。『あの正しい人にはかかわり合わないでください。ゆうべ、私は夢で、あの人のことで苦しいめに会いましたから。』」(マタイ27:19)
「そこでピラトは、自分では手の下しようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、群衆の目の前で水を取り寄せ、手を洗って、言った。『この人の血について、私には責任がない。自分たちで始末するがよい。』」(マタイ27:24)
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