◆55. リンゴとバナナが育つ国
これら5つの異なる植生分布帯と3つの大陸をつなぐ場所である地理的条件が、イスラエルを、地球上の多種多様の動物たち、シベリア、西ヨーロッパ、アジア内陸、北アフリカ、西アフリカなどで自生する植物の交わるところとしています。
イスラエルの大きさを考えると、これほど豊富な種類と多様性が、このちっぽけな国に詰め込まれていることに、改めて驚嘆するでしょう。
リンゴとオレンジ、あるいはイチゴとバナナがどこで育つか考えてください。これらはそれぞれ、全く異なった地域で育つものです。寒冷地を好むものや、温暖な気候、あるいは熱帯など全く離れた場所で育つものであって、本来は同じ場所はもちろん、同じ地方内でも育たないはずです。
◆56. 比類ない多様性
私たちのほとんどが、非常に狭いにもかかわらず、イスラエルほど豊かな植物相をもつ国は他に存在しないことを知らないまま、聖書で「シャロンのバラ」や「野の百合」について読んでいるのです。
ランス・ランバートは、小国イスラエルに3000もの異なった種の植物が生えていることを取り上げています。これは面積がイスラエルの2・5倍の英国諸島全体で1800
種、またイスラエルの10倍の国土に匹敵する、中東最大級で最も肥沃なナイル・デルタを誇るエジプトの1500種と比較しても、驚くべき数です。
◆57. 境界の重なるところ
これらの多くの植物にとって、イスラエルはその分布域の極限に当たります。多くの地中海性植物にはその分布域の東限であり、アジアのステップ平原性植物には西の限界です。アフリカの植物にとっては北限、ヨーロッパ・シベリア植物には最南端に当たるのです。これは、イスラエルのユニークな特色の一つです。
その一例は、エイラットの北外れに生えている東アフリカ特有のダウムヤシです。イスラエルには3種類の木立しか生えていませんが、最も近い種は1000マイル南へ行かなければ見つけることができません。このヤシがイスラエルにどうやって来たのかはだれも知りません。死海を見下ろす、エン・ゲディの絶壁の上には、常時新鮮な水が湧き出す泉があり、そのそばにたおやかに生えているシダ、アジアンタムを見ることができます。たった数ヤード泉から離れれば、荒れ野の熱風で跡形もなく枯れてしまうでしょう。
◆58. 同じ庭に2つの植物相
時には、同じ谷間で、北に面して涼しいため、地中海性の植物で覆われた南壁と、南に面して暑く乾燥し、ステップ性植物しか生えない北壁、そして谷底に両方の種が混合して生えている場所があります。そこでは、東から西へ飛ぶワタリガラスも見られます。
イスラエルでは、家の周りの敷地に果実のなる木を植える中東の習慣が、ユダヤ人にもアラブ人にも見られます。一つの庭に分布域が異なる典型的植物、例えば暖地を好むオレンジやアボカドと一緒に、寒冷地を好むリンゴや桃が植えられ、さらにはテラスの上からブドウ棚が垂れ下がっているという様子に、私はいつも驚かされます。
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