◆9. ずっと変わらない地域
歴史上、いくたびもその領土範囲は変化したものの、一貫してイスラエル人が居住してきたのは「ダンからベエル・シェバまで」の地域でした。ダンとは、ヨルダン川の水源であるヘルモン山のふもと、ガリラヤ湖の北、フラー渓谷の北端に位置する、ダン部族の地です。ベエル・シェバは、アブラハムがアビメレクと協定を結んでしばらくの間住んだ(創世21・22-32)、南部のネゲブ砂漠にある町です。そのさらに南には地球上で最も乾燥の激しい砂漠があり、聖書時代、ベエル・シェバは、人々の居住に適する地の最果てとされていました。
これら2地点の間の距離は、ほんの84キロメートルです。エジプトの肥沃なナイル・デルタや、ティグリス・ユーフラテスという2つの川に挟まれたメソポタミアの肥沃な三日月地帯と比べると、イスラエルの地は小さく貧弱です。イスラエルの大きさは、聖書時代のほとんどにおいて、また現代でも、アメリカ・ニュージャージー州、日本で言えば四国を少し広くした程度です。しかしこの小さな地は、世界情勢の中で注目を浴びる場所であり、またその波乱に富む歴史自体が、この国が存在する意義と重要性を裏付けています。
■第2章 国土の持つ性格と地誌
◆10. 乳と蜜の流れる地
聖書の地は「乳と蜜の流れる地」としても知られています。神はモーセに言われました。「わたしが下って来たのは、彼らをエジプトの手から救い出し、その地から、広い良い地、乳と蜜の流れる地、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人のいる所に、彼らを上らせるためだ。」(出エジプト3:8)。エゼキエルをとおして、神は再びこのテーマを取り上げて語っておられます。「その日、彼らをエジプトの地から連れ出し、わたしが彼らのために探り出した乳と蜜の流れる地、どの地よりも麗しい地に入れることを、彼らに誓った。」(エゼキエル20:6)
◆11. 「乳と蜜」と説く
―その心は?
乳と蜜の流れる地とは、この地が乳を産する羊や山羊、ラクダ等、家畜類を育むことができ、またミツバチが蜜を求める花々が咲き、豊かな甘い果汁をしたたらせる果樹が育つ場所であるという事実を表しています。動物や木々の存在は、水がある証明でもあります。「乳と蜜の流れる地」という約束は、全体的には多くが乾燥した砂漠であることを暗示しつつも、イスラエルの民への神の祝福を保証しているのです。
◆12. 「土地があなたを養ってくれる」
「あなたの神、主の命令を守って、その道に歩み、主を恐れなさい。あなたの神、主が、あなたを良い地に導き入れようとしておられるからである。そこは、水の流れと泉があり、谷間と山を流れ出た深い淵のある地、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろの地、オリーブ油と蜜の地。そこは、あなたが十分に食物を食べ、何一つ足りないもののない地、その地の石は鉄であり、その山々からは青銅を掘り出すことのできる地である。」(申命8:6-9)。ここでモーセはイスラエルの子らに対し、いかにその地が祝福されているかを説明しています。
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