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◆イスラエルの現状

 現在、いつも買い物客でにぎわっていた、エルサレムの銀座通りとも言うべきベン・イェフダ通り、キング・ジョージ通り、そしてヤッフォ通りには、ほとんど人が見られなくなってしまいました。ショッピング・センターへ入るのにも、空港と同じ安全検査を通過しなければなりません。子どもたちがデートするときにも、親は「無事に帰って来られるように」と祈りながら送り出しています。女性をデートに誘う男性は、「命がけで彼女を守りますから、どうか心配しないでください」と約束して、テロリストが狙わないような、人があまり行かないレストランを選びます。そして、テロリストが来る前に食事を終わらせられるだろうか……と、心配しつつあたりを見回しながら食べているのです。そして、何を食べたのかわからない気持ちでさっさとレストランを出る始末です。

 イスラエルの緊張感が絶頂に達しています。誰かが何かを言えば、大声で泣き出すか、大げんかになってしまうほど精神的に追い詰められています。こんな思いをしている市民を、イスラエル政府は、「もうアラファトがテロリストを止めてくれるのを待つことはできない。自分たちで戸口から戸口まで探してでも、この地からテロをなくそう!」と決めたのです。ここに至るまで、何十年にもわたる忍耐があったことを、世界は知りません。

◆なぜイスラエルはヨルダン西岸を返さないのか
 こんなことなら、さっさとヨルダン西岸を渡して、和平協定で結ばれた条項の遂行を完了させればよいのに、どうしてイスラエルはそれをしないのでしょう。それは、和平協定にサインしてから今日まで、インティファーダはひと時も止まることなく、テロの働きはますますひどくなっていったからです。イスラエルは約束どおり土地を返し、協定に従って行動してきましたが、この5年間、相手には全くその条約を守る態度は見られませんでした。現在の報道では、「イスラエルが1967年(六日戦争)以前の境界線までパレスチナ人に渡すなら、和平が成立する」と言われています。しかし、アラファト議長は、毎日のように「ヨルダン川から地中海まで(全イスラエル)、パレスチナである」と語っているのです。これは1967年ではなく、1948年のイスラエル建国以前に戻すことを主張しているのにほかなりません。

 現在、多くの自爆テロ訓練が行われています。ヨルダン西岸を全部渡すなら、ヒズボラ(レバノンで結成されたイスラム原理主義組織)によって訓練されたテロリストたちが、すぐにレバノンからシリアに、そしてヨルダン国からヨルダン西岸に入って来るのです。テロ訓練所は、アラブ諸国だけでなく、アフガニスタン、南アフリカ、そしてアメリカにも存在します。彼らには、イスラエルを亡きものにするためなら、いつでも命を捨てる覚悟ができています。現在、これほどセキュリティーに気を配り、簡単には入れないはずのイスラエルに、毎日テロ活動が起こっているのです。パレスチナがヨルダン西岸に入れるようになれば、テロリストたちは一瞬にしてジハード(聖戦)を実行するでしょう。

 
 
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