広間に戻った王が、エステルのいた長椅子の上にハマンがひれ伏しているのを見て、「私の家の中で王妃に乱暴しようとするのか」と激怒しました。その時宦官の1人が、「モルデカイのために、ハマンが用意した絞首台が彼の自宅の庭にあります」と告げたので、王は「彼をそれにかけよ」と命じ、ついにハマンは処刑されたのです。王はユダヤ人の敵、ハマンの財産をすべてエステルに与え、即座にモルデカイを総理大臣に任命しました。それはアダルの月の14日でした。王はユダヤ人について、モルデカイの思いどおりにしてよいと許可を与えました。災いが去ったことで、町々のユダヤ人は喜び、楽しみ、祝宴を張り、その日を祝日としました。
これが、エステル記、プリムの祭りの物語です。
◆プリムの特徴
イスラエル、そして世界中のユダヤ人社会では、今でもプリムが守られています。エルサレムなど城壁のある町々では、アダルの月の15日に、テルアビブなど城壁のない町々では、アダルの月の14日に祝ってきました。何百年もの間、虐待に耐えてきたユダヤ人にとって、この祭りこそ、悲しみが喜びに、嘆きが幸福の絶頂へと変えられた日の象徴です。エステル記4章16節に記されているように、13日に断食をしてプリムに備えます。これはエステルの断食とも呼ばれています。プリムは他の断食や祭りと違い、前日の夜からではなく、日の出とともに始まります。
祭りの主要な呼び物は、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)でのエステル記全書の朗読です。聖書の中で、エステル記だけは神の御名が書かれていません。ですから、朗読も非常に軽快に行われ、祭りの雰囲気も自由で開放的です。シナゴーグでの礼拝は普通、儀式を重視して厳粛に行われますが、プリムはどちらかと言えば、ばか騒ぎをしているように見えます。
出エジプト記17章8節から16節にかけて、「主は代々にわたってアマレクと戦われる。」という一節が出てくる記事がありますが、ハマンはそのアマレク出身です。
イスラエルでは、劇やパレード、パーティーが行われるプリムの祭りは、人々に親しまれています。エルサレムでは、アマレク人やエステル、モルデカイに扮した子どもたちで道路はいっぱいになり、大人たちもそれぞれ仮装して祭りを祝います。まるでカーニバルの雰囲気です。さすがに数は少ないものの、小さな悪者ハマンが走り回っています。彼らはたいてい、野次られたり、からかわれたりします。エステル記の登場人物のほか、中にはまったく関係のないピエ口や宇宙飛行士、カウボーイやマドンナなどの有名人など、好んで扮する若者たちもいます。
←プリムでは、イスラエルの街路は仮装した大人や子どもたちであふれかえる。
ユダヤの祭りには食べ物が付き物ですが、プリムではその1つとして、「ハマンの耳」というお菓子を食べます。それは三角のクッキーのようなもので、甘く味付けしたけしの種、または木の実がたくさん入っています。また、伝統として、午後には祝宴があり、友人や親族を集めてお祝いをします。この歴史的な日を記念して、断食や贈り物の交換、また貧しい人々への施しをしたりします。(エステル9:22)
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