◆エステルの決断
事情を知ったモルデカイは、着物を裂き荒布をまとい、嘆き悲しみました。エステルが宦官ハタクを遣わすと、モルデカイは彼女に王の前に出て、同胞のために命乞いをするよう勧めました。王の召しなくして王宮の中庭に入れば、男女問わず即刻打ち首と決まっていました。王妃とて例外ではありません。しかしモルデカイは言いました。「あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。」(エステル4:14)
エステルは熟慮した末、3日間断食し、同胞のために死ぬ必要があるならと、いさぎよく死ぬ決意を固め、王宮の中庭に足を踏み入れました。この行為に、王は怒るどころか、彼女を招き入れました。エステルは、王のために設ける宴会にハマンと一緒に来てほしいと伝えました。王は招待を受け、ハマンも大喜びで王妃のもとへ急ぎました。
その夜、王は上機嫌でエステルに言いました。「欲しいものは何でも与えよう。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」エステルは、「もしも王さまのお許しが得られ、私の望みをかなえていただけますなら、私が設ける宴会に、ハマンとご一緒に、もう一度お越しください。そうすれば、明日私は王さまのおっしゃったとおりにいたします」と答えました。
宴会後、天にも昇る気持ちだったハマンが一気に盛り下がったのは、あの無礼なモルデカイが、例によってお辞儀もせずに門に座っていたからでした。ハマンはますます腹を立て、その夜のうちに、高さ25メートルもの絞首台を作り、翌日モルデカイをつるそうと思い立ちました。
←グラガー。エステル記が読まれている間、ハマンの名が出るたびに、騒音を立ててかき消すための道具。
◆ユダヤ人の解放
祝宴の2日目も、王とハマンは王妃エステルのところへやって来ました。エステルは王に願いました。「私にいのちを与え、私の望みを聞き入れて、私の民族にもいのちを与えてください。私も私の民族も、売られて、根絶やしにされ、殺害され、滅ぼされることになっています。私たちが男女の奴隷として売られるだけなら、私は黙っていたでしょうに。事実、その迫害者は王の損失を償うことができないのです。」(エステル7:3-4)
王はあ然として、「そんなことをたくらんでいる者は、いったい誰か」と問いました。エステルは答えました。「その迫害する者、その敵は、この悪いハマンです。」すると王は荒々しく立ち上がり、庭に出て行きました。あわてふためいたハマンは、エステルに命乞いをしようとしました。
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