|
マタイ22章15節から22節で、パリサイ派の人々が税金を支払うことについてイエスに尋ねています。「どう思われるのか言ってください。税金をカイザルに納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」イエスは彼らのコインを見せろと言い、「これは、だれの肖像ですか。だれの銘ですか」と問い返します。彼らが「カイザルのです」と答えると、イエスは彼らにこう言われました。「それなら、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」彼らは、これを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去りました。イエスは地上の権威に対して反抗的ではありませんでした。むしろ税金の支払いについて、指導者に従うように教えられました。コインにローマ皇帝の顔が刻まれているので、皇帝が税を支払えと言うのであれば、それらの通貨を使っている人々は嫌がらずに支払いなさいと。
マタイの福音書17章24節から27節にかけて、もう一つの税に関する出来事が記されています。カペナウムの収税人がペテロに、「あなたがたの先生は、宮の納入金を納めないのですか。」と尋ねました。当時は、神殿のために2ドラクマの税を払うことが義務づけられていました。ここに展開されている会話から、イエスが税金を支払うことについて不賛成であることが明らかですが、それでも主は払いました。「湖に行って釣りをし、最初に釣れた魚を取りなさい。その口をあけるとスタテル1枚(4ドラクマ)が見つかるから、それを取って、わたしとあなたとの分として納めなさい。」(マタイ17:27)
◆第二の教義・「神のみに仕える」
熱心党はローマからの独立を強く求めていました。彼らはまた、イスラエルの神以外、他の誰にも仕えないと公言していました。もちろん、ローマ帝国に従うなど問題外でした。
当時、至る所にローマ兵がいました。また、彼らが連れてきた外国の傭兵もいました。彼らは「荷を運ぶように」と、イスラエル人にいつでも命じることができる特権を持っていました。
ところで、イエスはマタイの福音書5章41節で、「あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょにニミリオン行きなさい。」とおっしゃっています。こうした歴史的背景を考えるとき、果たして人々が喜んでこのことばを聞くことができたのかどうか疑問を感じます。ここでイエスは、彼らを酷使するローマ兵への態度について、論争の的になるようなことを言っているのです。それは、「上に立つ者たちに対し、その要求が神の律法に違反しないかぎり、愛と尊敬を示しなさい」という内容でした。
イエスの時代、多くのユダヤ人が反ローマ的でした。イエスの弟子も例外ではありません。彼らについてより深く理解するためには、彼らの反ローマ主義意識についても柔軟に受け止める必要があります。
ヘロデ大王の息子の1人に、イエスが「狐」とあだ名したヘロデ・アンティパスという人物がいます。ヘロデ・アンティパスは、ローマ皇帝ティベリウスの肖像が描かれたコ.インを鋳造しました。ガリラヤの宗教的なユダヤ人は、このコインに触ることさえ拒絶しました。なぜなら、そのようなコインはみな偶像と見なされたからです。しかも、そこには単なる人間ではない、神と自称するローマ皇帝の姿が刻まれていたのです。ユダヤ人がそうした硬貨の使用をボイコットしたため、ガリラヤ地方全体の経済が一時低迷したほど、彼らの拒絶は強烈なものでした。
|