まず、この祈りのみことばを詳しく見てみましょう。
この祭司の祈りは、ユダヤ教の会堂やユダヤ人の家庭だけで捧げられていただけではなく、キリスト教のほとんどの教会で終祷として用いられていました。この祈りの素晴らしさは、宗派の壁を超越しています。神を愛する人々が主と交わる時、場所に関係なくみことばによって安らぎを得ることができるのです。
祝祷が捧げられる時、聖職者はいつも会衆の前で手を上げながら祈ります。現在では指をそろえた状態で、手のひらを広げ、手を上げて祈ります。
しかし、古代のイスラエルの祭司たちは、慣習としてもっと象徴的なジェスチャーでこの祈りを唱えました。まず、祭司と会衆は、この祈祷の朗読を聞くにあたって『タリート』(祈祷用ショール)で頭を覆いました。それは周囲の状況に気を取られないで、神にだけ思いを集中させるためです。
そして、祭司は手のひらを広げ、手を上げて祈ります。この時、指はそろえず、親指と人さし指の間を開けます。中指と薬指の間もVの字に開けます。この形はヘブライ語のアルファベット『シン』の文字に似ています。
この『シン』の文字はユダヤ人にとって、一番大切な名前である『エル・シャダイ』(全能の神)を意味しています。ユダヤ人の家や公共機関では、おのおののドア枠のところに『メズーザ』という小さな細長い箱が取り付けられています。その箱の中にみことばを入れ、出入りするたびに神を思い出すようにしています。
面白いことに、テレビ映画『スター・トレック』の登場人物の一人であるスポック博士は、ローマ神話に出てくる神バルカンを表すため、祭司が祈りを朗読する時の手の形と同じようにVの字を作ります。この作品の監督レオナルド・ニーモイはユダヤ人ですから、この伝統的な祈りのジェスチャーをお話の中に取り入れたのでしょう。
■主があなたを祝福し、あなたを守られるように
◆「主」
民数記6章22節から27節に出てくる言葉「主」は、神を表す伝統的な名前ですが、他に神ご自身が特別に選ばれた名前『ヤーウェ』があります。『ヤーウェ』という名前には、「在って在る者」−唯一の存在であり、他のどの神にも勝る最高神である、という神のご性質が表されています。この名は、聖書では『テトラグラミトン』(ヤーウェをヘブル語で記す時の4つの文字)として、ヘブル語で発音できない綴りで記されています。これは、あまりにも神聖なお方の名前なので、汚すことがないように口にすべきではないという観念に基づいています。初期のクリスチャンは主のみ名を『ジェホバ』と間違えて発音しました。ヤーウェを表す最初の一文字『ヨッド』を「ジェ」と発音してしまったのです。一番近い発音は『ヤーウェ』になります。『アドナイ』とは簡単に言えば「主」のことですが、ヘブル語の聖書ではこのヤーウェの4つ文字−テトラグラミトンに遭遇するたび、代わりに『アドナイ』と朗読されました。
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