イエスは種を、人の心にまかれる神のことば、福音にたとえられました。まかれた福音の種のうち、良い地に落ちたものだけが育って実を結びます。他のものは決して根を下ろさず、たとえ芽を出してもすぐに枯れるか、雑草に負けてしまいます。
イスラエルの段畑を注意して見ると、このたとえがいかに人々の日常生活に結びついていたものだったかがわかり、さらに深く理解することができます。
農夫は、段畑の上の畑を支える壁から1メートルほどのところにある道に沿って歩きます。畑は山の斜面に沿って作られているため、丘の頂上側ほど土が浅く、ほとんど床岩が露出しています。ですから、露出した岩の間の浅土ゾーンと道には自然にイラクサやアザミが茂っています。そして道の下側には、種が育って作物が豊かに実る土壌が段のふちまで広がっているのです。ちょうど種をまく人のたとえにあるとおりで、これがイスラエルの段畑ではどこでも見られる光景です。
興味深いことに、段畑で最も広い部分には一番良い土があります。このことは私たちがまいた福音の種のほとんどが立派に育ち、実を結ぶことの保証をしているようではありませんか。
種まきのたとえに出てくる「良い地」(マタイ13:8)は、非乾燥地帯で農業をしている人々から見ると岩だらけでゴツゴツした畑です。作物が育つように石がわざと置かれているからです。
すでに触れましたが、イスラエルでは乾季の間225〜275ミリの露が降ります。夏の暑い太陽が沈むと岩はたちまち冷たくなり、夜間には空気中の水蒸気をたくさん集めて下の地面に落とします。それによって、暑い日差しであっという間に地表の水分が蒸発していくのを防いでいるのです。
今日のイスラエルにおいても、ダビデ王の時代から耕されてきた段畑を見ることができます。大昔から絶えることなくこの地を耕してきた人々によって、畑は維持されてきました。聖書時代からある村々、たとえばエルサレム近くにある洗礼者ヨハネの出生地エイン・ケレム村の段畑では、今でも7種の産物、ブドウ、オリーブ、アーモンド、イチジク、ザクロ、小麦と大麦が育てられています。
■イスラエルの動物
乾燥地帯に住んだ経験のない人は、砂漠はカラカラで生命の存在しない地域だと考えます。しかし実際の砂漠はそうではありません。イスラエルでは特にそうです。イスラエルの砂漠・ユダヤ荒野は、アイベックス(山岳地帯の野生山羊)から亀、蛇にトカゲ、そして羊はもちろん、ロバに山羊やラクダなど、動物であふれています。
マタイ書6章の、“心配”に関して書かれた聖書箇所でイエスはこう言っています。「空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。あなたがたは、鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか。」(マタイ6:26)
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