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◆世界の交差点
 もう一つ、イスラエルで有名なのがハルマゲドンの谷です。ここは黙示録16章16節に、主ご自身と世界の国々との最後の戦いが行われる場所の名前として書かれています。1799年にナポレオンがこの一帯を征服したとき、彼はこの谷を世界に二つとない最高の戦闘アリーナであると評しました。それは、この場所が山々に囲まれ、東西南北に入り口が備わっているからです。

 この谷はまた、地形上の名であるエスドラエロン、あるいは谷の南端にある大きな二つの町の名に由来するメギドの谷、またはエズリールの谷としても知られています。また、北のガリラヤ地方と南のサマリヤの山々や、地中海沿いの海岸平野の地方を分ける場所でもあります。
ハルマゲドンの谷は地中海沿岸の町ハイファを指す矢尻のような形をしています。そしてベテシャンの谷はヨルダン渓谷にまで伸びる長い矢の軸の部分に当たります。これらの谷は、旅をするのに容易であったため、中東の主要な交易路となりました。

 その一つがローマ人の呼ぶヴィア・マリス、すなわち“海の道”(イザヤ9:1)です。この道は北のヨーロッパ、メソポヤミヤと南のエジプト、アフリカを結んでおり、主要な交易路でした。ダマスカスから南西へ下ってハゾルを通り、さらにガリラヤからメギドの谷に入り、そこから地中海沿岸に沿って海岸平野をエジプトに向かいます。メギドの谷からこの道に沿って南に行けば、エジプトに向かうミディアンの商隊にヨセフが売られた場所、ドタンの谷を通過することができます。

 もう一つの南北を結ぶ交易路は“王の道”と呼ばれ、ヨルダン・アラバ地溝帯の西側にある山々の台地を通って南に向かいます。さらにダマスカスからサウジアラビア半島に入り、ヘジャズを通り、ラッバス・アンモン(現代のアンマン)へ伸びていきます。東洋の香辛料などを世界に売るために、地中海沿岸を目指す交易者たちはベテシャンの谷を通ってメギドの谷へ向かう東西の主要交易路を取りました。

 旅行や交易の多くを陸路に頼っていた世界では、これら主要な道路の支配がその時代の主権を握る決め手でした。それで野心的な支配者たちは、これらの道を自分の権限下に置こうと考えたのです。ここを手に入れれば、古代世界の主要交易路が集まる場所をコントロールすることができました。そのために、イスラエルの地は数え切れない軍事衝突や歴史的戦いのきっかけとなったわけです。エジプトのファラオ(王)たち、アッシリア王たち、バビロン、ペルシャ、アレクサンダー大王、プトレマイオス王朝、セレウコス王朝、ローマ、ビザンチンの皇帝たち、アラブ人たち、十字軍、マムルーク朝、トルコ人たち、そして第一次大戦ではアレンビー将軍指揮下の英国人たちもそうでした。こういった人々が、防備上不可欠で魅力的存在であるという理由で、この小さなイスラエルの国において争ったのです。

 
 
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