◆イスラエルとパレスチナ
上記のストーリーは、イスラエルとパレスチナの関係を、夫婦になぞらえたものです。周囲から同情を集めているナンシーはパレスチナ、暴力夫・和夫はイスラエルを指しています。暴力のみならず、お金を渡さない和夫とは、イスラエルのパレスチナに対する経済封鎖を意味しています。
テロリストの横行で、イスラエルはパレスチナ人の労働者を、イスラエルからシャットアウトしてしまいました。それによりパレスチナ人は職を失い、食うや食わずの生活を送っているのです。同棲中とは、イスラエル建国前を指します。
今では信じられないことですが、彼らは争いの中心となっているあの土地で、仲良く共存していました。しかし、イスラエルの建国を境に、アラブ諸国との戦争がぼっ発しました。戦争ごとに両者の遺恨は深まり、最終的にパレスチナによるテロの応酬へとつながっていきます。あれほどうまく共存していた両者が、突然敵と味方に別れてしまったのです。常識では考えられないことですが、聖書に預言されている、イスラエルの建国を阻む悪しき力が働いたことは間違いありません。
「財産分与が和解になるなら……」と願う和夫(イスラエル)の叫びは、本当に深いものです。しかし、土地を返すごとに、その場所に爆弾工場や武器倉庫などが作られ、和平どころか、逆にテロを支援することになってしまうのです。言葉が通じ合わない国際結婚と記したのは、現実に言葉が通じないということではありません。ユダヤ教と民主主義を土台とした価値観と、アラーの神を土台とした価値観は、どこにも接点がなく、どんなに話し合っても、お互いが何を言っているのか分からない状態が続いているのです。
もちろん、両国の問題はあまりにも複雑過ぎて、このような単純なストーリーでは語り尽くすことができません。しかし、ここで一番申し上げたかったことは、以下の点です。
●マスメディアの報道は、ナンシーの主張のみを主に取り上げていて、和夫がなぜ暴力をふるわざるを得ないか、その背景を報道していません。従って、すべての同情がナンシーに集中し、和夫には、怒りが集中しています。
●言葉が通じ合わないという現実。私たちは、「話せば分かる」という価値観をもっています。和平交渉をすれば、そこに何か光を見いだすことができるはずだと信じているのです。しかしこの両者は、通じ合わない言葉で、それぞれが自分の正しさを主張しているのですから、会話は成立しません。 |