B.F.P. Japan局長
高田 篤美 2004年1月
◆泥沼化するテロとの戦い
自らをネブカデネザルの再来と称し、「バビロンを立て直す」と公言して長年にわたる独裁政治を続けたフセイン前大統領が、ついに拘束されました。人民の命など虫けらほどの価値も認めず、自分の野望を貫くためには何でも断行する、非常に危険な人物でした。汚れ切った衣服にひげが伸び放題の顔、小さな穴の中にネズミのように隠れていたところをアメリカ兵たちに逮捕された彼の姿は、聖書に描かれた、まさに“野の獣”と化したネブカデネザルの末路を彷彿とさせました。
フセインが拘束される直前、日本の自衛隊派遣が正式に決定しました。国民の実に70%が「十分な派遣目的が説明されていない」とする中での断行でした。外交官2人がテロの被害に巻き込まれ、「自衛隊をイラクに派遣するなら、東京を攻撃する」というアルカイダの予告は一気に現実味を帯びてきました。
現在、テロ活動を行っている主な28のテロ組織すべてが一枚岩というわけではありませんが、その根幹をなす理念の一つが「イスラムの価値を犯す、ユダヤ・キリスト教文明の破壊を目指し、米国の価値観(民主主義と市場原理)と戦う。軍人、民間人を問わず、アメリカ人とその同盟者を殺す。これは、ムスリム(イスラム教徒)一人ひとりに与えられた個人的な義務である。」というものです。
先日、民放で「なぜイスラム原理主義者はアメリカを攻撃すると思いますか?」という質問を、有名芸能人に問う番組が放映されていました。大多数の人が「分からない」と答える中、中東問題専門家という大学教授が、次のように回答していました。「一言で言うなら、テロリストたちが嫌いな国(イスラエル)の味方を、アメリカがするからです。」と。そこで、パレスチナ問題が解説され、今起こっている一連の出来事の根源は、イスラエルにあると締めくくられていました。
その中で非常に印象的だった発言は、「イラク問題って、日本には直接関係ないんですよね。それなのに、なぜ日本が巻き込まれなくちゃなんないのですか?」というものでした。万が一、東京でテロが起こるようなことがあれば、同じ叫びを上げる人が大勢出てくることでしょう。アメリカでは、すでにその悲鳴が国民の中に強く起こっています。大勢の死者を出し、国家財政を圧迫するイラク戦争を、なぜすることになってしまったのか。なぜテロと戦わなければならなくなったのか……。そこに「イスラエル」というキーワードを見つけた人々の中から、実際にユダヤ人に対して迫害を行う人まで出てきました。
◆深刻化するイスラエル問題
わずか四国ほどの大きさしかないイスラエルが、世界の注目を集めるようになって久しく、新聞記事にも必ずといっていいほどイスラエル問題が取り上げられるようになりました。日本の新聞はそれでも少ない方で、諸外国の新聞には3ページにわたって記事が掲載されることがしばしばあります。終わりの時代、イスラエルが注目の的となることは、数千年前から預言されていました。 |