BFP JAPAN 高田篤美 2001年10月
「万物の終わりが近づきました。ですから、祈りのために、心を整え身を慎みなさい。何よりもまず、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は多くの罪をおおうからです。つぶやかないで、互いに親切にもてなし合いなさい。」(第1ペテロ4:7-9)
◆テロとは
世界中に潜伏していたテロリストたちの動きが、急速に活発になっています。私たちは未だかつてないほど「テロ」という言葉を耳にしていますが、テロとはいったい何でしょう。テロとは「それぞれが理想とする政治・宗教的思想を実現するために、手段を選ばず活動すること」です。文字どおり手段を選びませんから、殺人やその他の恐怖に満ちた作戦を取ることは、もはやテロリストたちの常識となっています。彼らの行為は、単なる暗殺ではなく、無差別な殺人です。「政治的・宗教的理想」という大義名分のもとに、どれほどの人が死んでも、彼らの胸が痛むことはなく、むしろ目標に向かって一歩前進したことへの喜びに満たされています。
◆狂った価値観
数年前に起こった「地下鉄サリン事件」も、テロの一種と考えて良いでしょう。地下鉄でサリンをばらまき、大勢の人々が死ぬことと、理想郷を実現することに何の接点があるのでしょうか。今回の同時多発テロも同様です。イスラム原理主義の理想を達成することと、あの攻撃との間にいったいどんな関係があるというのでしょう。しかし、そこには確固たる理由と、彼らの目には正しいと思える主張が存在するのです。
私たちには、彼らの価値観を理解することはできません。剣を振りかざして、人々の命を奪うことが、「聖戦」や「世の中の浄化」という言葉のもとに正当化されても良いのでしようか。
同時多発テロ事件の首謀者と見られている、ビンラディン氏率いるテロリストたちは、今回の企てを、“正義”また“アラーの神のみ心”だと思ったからこそ、自分自身の命さえも惜しまず懸命に任務を遂行しました。彼らにとって、これは「善行」そのものなのです。彼らは、「巻き添えにした犠牲者の数だけ、アラーに栄光が帰される」「天国に行ったら、アラーから第一級の栄誉を与えられる」と信じています。今回、こうした衝撃的な出来事が引き起こされたからこそ、「彼らの価値観はおかしい。狂っている。間違っている。テロは赦されるべきではない」と非難することができますが、では、果たして、私たちの持つ価値
観はどうでしょう。
◆価値観の育成
人間の価値観はそれぞれが育った環境の中で形成されます。それは属する国によって、また宗教や文化的背景によっても大きな違いを生み出します。貧富の差や兄弟の人数、学びをした学校、さまざまな人々との出会いまでもが、微妙に影響し合ってそれぞれの価値観を固めていきます。一人として同じ環境で育つ人はいませんから、価値観もそれぞれ微妙に違ってきます。 |