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◆「知ること」による喜びと苦しみ
 先日、統一教会から救出され、今はすばらしい主の働きを担っておられるT姉妹と交わる機会がありました。この方は、1週間で統一教会の間違いに気づき、本当の神と出会うことができたそうです。自分が命懸けで信じているものを、すべて否定し崩すという行為には、大きな痛みが伴います。それはまるで自分自身の中身がすべて抜かれ、空っぽになってしまうような体験です。

 戦時中、「天皇陛下を神とし、日本のために命を捨てることを潔し」と信じ、教師としてそれを子どもたちに教えていた、作家の三浦綾子さんは、戦後その価値観が根底からくつがえされてしまったことで、イエス・キリストに出会うまでの数年間を廃人のようになって過ごしました。自分が立っていた土台が崩れたばかりか、指導者として間違いを生徒に教え込んでいた自分を、許すことができなかったのです。その中で自暴自棄になり、荒廃した生活を送るようになりました。彼女の荒れた心は、イエス・キリストに出会って、新しい土台が築かれるまで、癒やされることはありませんでした。後に三浦さんはこの時のことを「何をするのも嫌になってしまう脱力感を、どうすることもできなかった」と振り返っています。

 T姉妹の話を聞きながら三浦さんの体験を思い出した私は、彼女に「心から信じていたものを否定しなければならないと気が付いたとき、自分自身を見失ってしまうような不安と苦しみに襲われませんでしたか」と質問しました。すると彼女は満面の笑みで「いいえ。古い土台が跡形もなく崩れた後、私の中には絶対に動くことのないイエス・キリストという真実の土台が築かれました。偽物に変わって、本物が入ってきたのですから、むしろ喜びがありました」と答えてくれました。

 T姉妹の言葉の中に、深い教えが隠されていると思います。パックリと開いてしまった心の穴を埋めるには、失ってしまったもの以上にすばらしいもの(真理)が取って代わるしかありません。「あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします。」(ヨハネ8:32)というみことばは、今なお生きて働いています。真理を知ることは、私たちの信仰を自由にしてくれます。

 私自身、かつてユダヤ人はイエスを十字架に付けたひどい人々だと思い込んでいました。しかし、自分の罪こそがイエスを十字架に付けたのだと知ったとき、ユダヤ人に対する思いが根底から変えられたのです。

 1世紀以来、2000年ぶりにユダヤ人共同体に住むユダヤ人が救いを受けています。彼らは今なおユダヤ的背景の中にどっぷりとつかって生きている人々です。私たちはキリスト教からユダヤ人を排除するのではなく、今まで知らなかったユダヤ的ルーツを、彼らから学ぶことができる時代を迎えたのです。何という恵みでしょう。ゼカリヤ書に、「万軍の主はこう仰せられる。その日には、外国語を話すあらゆる民のうちの十人が、ひとりのユダヤ人のすそを堅くつかみ、『私たちもあなたがたといっしょに行きたい。神があなたがたとともにおられる、と聞いたからだ。』と言う。」(ゼカリヤ8:23)という預言がありますが、正にこのみことばが成就したと言えるでしょう。

 
 
 
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