BFPガリラヤ・スタディーセンター前所長 ジム・ゲリッシュ 2000年10月
アブラハムの甥のロトは、聖書の中でも特に興味深い登場人物の一人です。彼は偉大な叔父アブラハムの旅に一緒について回っていたようです。そしてアブラハムが祝福されるようになると、このロトもまた祝福されました。あまりにも祝福されたので、アブラハムも彼も同じ場所に一緒にいるのが困難になったほどです。それぞれの家畜の群れが大きくなりすぎて、両方が生き残るには場所が狭くなってしまったからです。
やがて、放牧のための良い牧草地の確保を巡って、アブラハムの牧者とロトの牧者の間で争いが起こるようになりました。聖書に書かれていませんが、ロト自身がアブラハムと言い争い、アブラハムの側に過ちを認めさせたようなふしが読み取れます(創世記13:8)。
ついに二人は別々に分かれて暮らす必要に迫られました。土地を選択する自由はロトに与えられ、アブラハムは文句を言わずに残りの場所を取ることになりました。ロトは青々と潤ったヨルダンの谷間を見渡し、これから自分が暮らす地として選びました。そして大きな家畜の群れや召し使いたちを連れて幸せそうに去っていきました。
一方、アブラハムは草木が生えない石ころだらけの丘の上に残りました。しかしこのことには、実は深い教えが隠されていたのです。
ロトが下した決断とその後彼がたどった運命は、今日、私たちの多くがなす選択とその結果を思い起こさせるものです。それらは、しばしば信仰の伴わない、自分の利益を求めてなされた決断であり、多くはこの世の誘惑にだまされたがゆえの選択です。
ロトは、高地を離れて低い土地へ下りていくことを選びました。ロトの一族は、イスラエルの山地の尾根伝いに旅を進めていきました。聖書の中でよく名の知られたシェケムやべテル、サレム(エルサレム)、そしてヘブロンなどの町々は、こうした海抜800m以上の山の頂上かその付近にあります。ヨルダン地溝帯の豊かに潤った牧草地は、海抜マイナス1000m以下の、世界で最も低い土地です。当時、この非常に低いヨルダンの谷間は準熱帯気候で、豊かな緑に覆われていました。
高地での厳しい暮らしから解放されて、ロトは喜んでいたに違いありません。もう、骨まで染みるような寒風や、冬の雨や雪に耐える必要がないからです。宗教的に厳格な叔父アブラハムからも自由になりました。何もかもがバラ色に見えたことでしょう。明るく安易に見える道をロトは選択しました。しかし、その前方には暗雲が待ち受けていたのです。
聖書には、「人の目にはまっすぐに見える道がある。その道の終わりは死の道である。」(箴言14:12)とあります。イエスもまた、いのちに至る道は狭いが、広い道は破滅へと導くものだと語っています(マタイ7:13)。広く安易な道は、この世の原則・力に頼る方向へいつも私たちを向かわせます。
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