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◆人道主義の遺産

 百科辞典によれば、近代思想にしみ通っている「人道主義」は、ギリシャ人、特にプロタゴラスとソクラテスに端を発していることがわかります。人道主義者は、人間が世界の中心であると主張しました。紀元前5世紀、教師であったプロタゴラスは、彼の有名な格言でこう言いました。「人間が全ての尺度である…」。

 明らかにこの教義は、神を体よく排除しています。また、信仰・奇跡・そして霊及び超自然の全領域をも排除しています。これは人間、そして人間の知識や理性を賞揚しています。レフ・シェストフは、その著「アテネとエルサレム」の中でこう言っています。「繰り返して言うが、理性が私たちの信仰を破滅させた…天の賜物という最も貴重なものを奪い去ってしまった。神の特権が介入する神聖な『あらしめよ』という次元から、理性に媚びて化石化した『である』という平面へと価値を卑しめたのである。」

◆ギリシャ神学の遺産
 ギリシャの遺産に伴い、超絶性の「神(god)」という概念が生まれました。ギリシャ的神観は、神がこの世と人間から分離されています。反対にヘブル的神(God)観は、神はこの世とそして人間と共に歩む方であるというものです。このギリシャの名残が、現在ある世界中の宗教に見られ、時にはキリスト信仰においてさえ、「二階のあの人」のような非人格的概念が見られることがあります。

 キリスト信仰の誕生直後から、何世紀にも渡ってギリシャ的考えとの衝突が起こってきました。これは初期クリスチャン異端・グノーシス派にも反映されています。その後キリストの御性質を定義する場合、教会に起こった奮闘にも明確に現れました。教会の教義は、この古代の奮闘の証拠でもあります。

 神学の領域において、ギリシャ人は他のことも残しました。「教義」の概念は、基本的にはギリシャ的概念で、哲学者たちから派生しました。ギリシャ人が私たちに与えたもので、恐らく最も実害が大きかったものは、比喩的聖書解釈法でしょう。この解釈法は、聖書の中では控えめに用いられているにもかかわらず、フィロ[訳注:フィロ、20 B.C.-50 A.D.、アレキサンドリアのヘレニズム的ユダヤ人哲学者]により、後には教会のオリゲン神父によって、クリスチャンの中に無差別に取り込まれてしまいました。比喩法によって、初期説教者たちは旧約聖書を取り上げ、自分の思いのままに説教することが可能になりました。このような教え、説教をとおして、イスラエル人やイスラエルの地は「比喩化」されてしまい、意義を持たない「型」として取り扱われるようになりました。これが「置換神学」という遺産を私たちに与え、クリスチャンの反セム主義の大きな根になりました。

◆その他のギリシャ人寄与
 ギリシャ人は他にも多くの影響を与えましたが、ここではそれを全部取り扱うことはできません。しかし手短に言うと、彼らは神に直接聞くよりも、修辞法に力を入れることを教えました。

 この結果、聖書的生活様式によって行動するより、言葉を強調するように導いたのです。こうした全てが、単に「語る」だけではなく、「行う」というヘブル的概念と衝突しました。今日の教会においても、教義を実践することより、適切に形式化された教義を持つことがしばしば強調されているようです。

 

 
 
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