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神の後押し
 南米出身のDさんは、恵まれたユダヤ人一家の一人っ子です。

 裕福な家に生まれ、素晴らしい教育を受けた彼は、進路を模索し、オーストラリアに行きました。しかし、彼が求めるものは、そこにはありませんでした。そこで、過去に何度か訪れたイスラエルに留学。しかしそこで厳しい現実に直面しました。言語・文化という二つの大きな壁だけでなく、甘やかされて育った彼には、何もかもが共同の寮生活という、耐え難い苦しみがありました。学費をまかなうため、レストランでウエイターもしました。が……辛さに耐えかね、実家に戻ったのです。

 しかし3カ月経っても、なぜか、イスラエルへの思いは消えませんでした。再び決意を新たにし、イスラエルへと戻った彼は、再スタートを切りました。ヘブライ大学に再入学して学ぶ傍ら、英語力を生かし、世界的に有名なIT企業でアルバイトを見つけることができました。

 苦労して、一皮剥けたD君は、里親プログラムの支援に支えられながら、イスラエルで夢の実現に向かって今日も頑張っています。ここで就職し、結婚し、家庭を築き、人生を建て上げることが、彼の“未来予想図”なのです。

 経済的に裕福なアメリカからも、ここ数年、帰還が進んでいます。

 アメリカのユダヤ人社会では、子どもたちに民族としてのアイデンティティーを育むため、一般の学校とユダヤ人学校を掛け持ちさせたり、あるいは宗教的な学校に通わせたりして、聖書教育を施す両親が多くいます。

 こうした教育のおかげで、イスラエルを先祖の地、自分たちが根を下ろすべき国だと捉える青年たちが、次々と帰還しています。これこそ、純粋な信仰心のなせるアクションです。

 Dさんのケースも、アメリカのユダヤ人青年のケースも、まさに、神の後押しそのものに他なりません。彼らは一様に、祖国のために役立つ人間となることを願っています。「お国のために役立つ人間になる」――日本の若者たちの間では、絶えて久しい発想ではないでしょうか? 彼らは、兵役や自爆テロという、もしかしたら命を落とす危険があるかもしれない中、それでも祖国に残ることを選びます。

 
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