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 このあまりにもむごい殺害に心を打たれ、哀悼の意を示すべく、イスラエル中から葬列に参加した数千人の中には、イスラエル大統領モシェ・カツァブの姿もあった。彼らを前に、ダヴィド・ハトゥエルは泣き崩れた。「僕は今一人ぼっちだ……。家族は皆、逝ってしまった……誰一人、残っていない。もし、一人でも残ってくれていたら……。これからどうやって、朝、目を覚ますことができるんだろう……。」

 この日、ダヴィドは、イスラエルに何千と存在する、テロ事件の犠牲者の遺族たちの一人となった。


 こうしたテロ事件は、2000年9月にインティファーダ(パレスチナによる武装蜂起)が始まって以来後を絶たない。テロや襲撃事件で尊い命を失ったイスラエル人は千人を超える。そしてダヴィッドのような何千もの遺族が、今日も計り知れない喪失感と、ぬぐいようのない痛みと苦しみの中を生きている。


 ここに、ソロモン一家がいる。夫ヨセフ、妻ラヘル。そしてイサク(14歳)、ダヴィッド(12歳)、サラ(9歳)の3人の子どもたち。

 彼らは普通のイスラエル人家族と何ら変わりない、お互いを深く愛し、将来に大きな夢を抱く人々だった。この困難な時期でも、神がすべての必要を与えてくださり、問題を乗り越えさせてくださることを信じて、親たちは忙しく働き、子どもたちは学業に精を出す毎日だった。

 彼らの長年の夢は、家族そろって休暇をとって旅行に出掛けることだった。そしてその機会がとうとう訪れた。300人のイスラエル人と共に目的地に到着した時、一家はまるで天国にいる心地だった。目に入るものすべてが美しく、すばらしかった。

 喜びのうちに、ホテルのロビーに到着。と、突然、一台のジープがドアを突き破り、突進してきた。山のような爆薬が積んであり、そして――爆発。ラヘルはとっさに、幼いサラに覆いかぶさった。

 イサク、ダヴィッド……二人の息子の命は瞬時に失われた。

 サラは無事だった。しかし爆発の衝撃で、サラの耳は聞こえなくなり、肺に大きな傷を負った。回復のため、今も治療を続けている。サラをかばったラヘルは、皮膚全体の65%に達するひどい火傷を負い、イスラエルに帰って後、二度にわたる手術を受け、体中包帯だらけの状態になった。

 一瞬、その場所から離れ、現場にいなかったため、ヨセフは無事だった。しかし、恐ろしい事件のショックから立ち直れず、仕事場へは復帰できなくなった。

 
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