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プロフィールに目を通していくうちに、そのほとんどにホロコーストで家族を失った話や、ユダヤ人であるがゆえに受けた差別が書かれていることが分かりました。そのような話がない方が珍しいほどです。ある人はユダヤ人であるがゆえに家を焼かれ、昼間外を歩くときには周りを警戒し、家族が殺されても国は何もしてくれなかったと言います。また、名前を変えてユダヤ人であることを隠し続けたという人もいます。さらに、夫と家族がドイツへの移民を決めてしまい、自分は移住を考えられず離婚に追い込まれた人もいました。想像し難い事実です。今まで彼らの歴史を学んできたと言っても、それは文字上のことでしかなかったことに気付かされました。ユダヤ人が抱える現実をまざまざと見せ付けられ、心が締め付けられる思いがしました。私と彼らの基準があまりにも違い過ぎます。私はもはや“苦しい”という言葉を使えないのではないかと思うほどに、彼らの傷は深く、その苦しみは大きいものだと感じています。移民の一人が、里子面接時に「ユダヤ人はどこに行っても、皆に愛されていたのを知らないの?」と、皮肉をこめたジョークを残していったとプロフィールに書いてありました。つまり、どこに行っても差別を受け、誰からも愛されたことがないということなのです。

新たに見えてきた現実
 十字軍やホロコーストなど、ユダヤ人は多くの迫害の歴史を通ってきています。世界の人々の心の中には、いまだに反ユダヤ主義が根付いているようです。私の身近なところでも、その思想が残っているのではないかと思うことがありました。

 イスラエルに来て、日本で流れている情報と現地の情報を聞き比べると、同じことを報道していても内容が違うように感じるのです。言葉自体は正しいのですが、その原因や、現地では常識とされることを報道で省略してしまうと、その言葉が足りないだけで受け取る内容が変わってきます。そんな大げさな!とか、それじゃイスラエルが一方的に悪いみたいだ……と思うことがたびたびありました。

 イスラエル側には主張したいところもあるだろうと思います。メディアを批判するのではありませんが、知らないうちにユダヤ人に不利な情報が流れ、そのままそれが彼らのイメージとして伝えられ、良くない先入観を生み出しているようにも感じました。ネットワークが発達する現代にあって、画像や言葉をとおして情報を得ることができる私たちですが、メディアが距離や文化、背景を超えて事実を正しく伝えることはとても難しいのだと思います。これは現地での最も大きい発見の一つでした。

里親の皆様が与えるインパクト
話を元に戻しますが、このような背景で傷を受け、偏見の目で見られてきた人も、すべての財産を捨て、かばん一つで来た人でさえも、彼らは口々にイスラエルに帰還できたことの喜びを語ります。「イスラエルの石の一つ一つが輝いて見える!」と、その喜びを手紙の中で表現する人もいました。私たち日本人の目から見れば、これほど危険な国はないと思うのですが、彼らユダヤ人にとっては“ユダヤ人でいられる唯一の安全な国”なのでしょう。

 このような彼らに、世界中のクリスチャンが個人単位で直接かかわることができるということが、この里親プログラムの大きな特徴だと思います。ユダヤ人の方々は「クリスチャンが何で自分たちを助けてくれるのだろう?」と不思議に思うようです。ある人は手紙の中で「クリスチャンにイスラエルへ連れてきてもらい、クリスチャンに食べ物をもらった!」と“クリスチャン”によって祝福を受けたことを強調していました。

 

 
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