しばらくの間、食料品をパックするだけで、ユダヤ人家族と接するチャンスが極端に少なくなったことに寂しさを感じていた。また、ヘブル語クラスに通いながらも、それを実際に使う機会がないことに、少々むなしさを感じていた。そんな中、「主よ、すべてがあなたの御手の中……寂しさとむなしさを感じる私をあわれんでください。どのような状況であれ、喜んで仕える霊で私を満たしてください」と祈った。それからしばらくして、十月も終わりに近いある日、フードバンク・フロアのマネジャーのシャーリーと、イスラエル人プログラムのコーディネーターであるロッテムが私を呼び、「エミコ、来月からイスラエル人プログラムを担当してもらえないか」と言った。十分後、再び「すぐに今日からやってほしい」と声が掛かり、その日、突然部署が変わった。
通りに面したガラス張りの事務所にまぶしい太陽の光が差し込む。座り心地の良い大きな椅子に広い机。その上に置かれたイスラエル人家族のリスト。リストに書かれた一人ひとりの名前を読み、「神さま、今週ここを訪れるすべての家族を祝福してください。悩み苦しみのある家族に、慰めと励ましが、問題のあるところにあなたの解決が、病のあるところに癒やしが……どうぞ彼らにあなたの良き物を与え、満たしてください。彼らを守ってください。ここで手渡すすべての物に、あなたの愛が含まれています。どうぞ彼らの心に触れてください。あなたの愛に触れられあなたを知ることができますように……」と、静かに祈る。
「ヨム・ヨム・ホレデト、ヨム・ヨム・ホレデト……。」きれいに包装されたジョイバスケットを、イスラエル版『ハッピー・バースディ♪』を歌いながら、一人の女性に手渡す。過酷な生活を負う彼女は、自分の誕生日を忘れていた。彼女の目が潤み、大粒の涙があふれた。言葉も出ず、お互い抱き合った。彼女は震えていた。今まで誕生日の祝いをしたことがなかったのだ。
ある時は、お酒のにおいをぷんぷんさせた男性が事務所に入ってきた。怒鳴り声で何を話しているのかさっぱり分からない。急いでロッテムを呼んだ。ドライバー担当のヨセフも駆け付けてきた。話し掛けると言葉を遮って大声でわめきだす。2人は彼に親切に接した。30分後、彼は落ち着いて静かに去っていった。
パートタイマーとして、配達の仕事を受け持っている女性がロッテムと話している。自爆テロ現場近くにいた子どもが、夜中、突然恐怖に襲われ大声を出す。そして、いろいろ奇怪な行動をとって家族が苦しんでいる……と語る。そこにもう一人、食料品を取りに来た婦人が話に加わる。彼女の息子さんは爆発音を耳にしただけなのに、夜中、冷や汗をかき、うめき声を出して飛び起きるという。ロッテムは、学んできたばかりのカウンセリングのノートを開き、彼女たちと話し合う。ちょっとしたカウンセリング事務所のような雰囲気だ。彼女たちが帰ったあと私もそのノートを見せてもらい、いろいろなことを教えてもらった。
スロバキアで働いているBFPスタッフから、こんなリポートが届いています。
これは、三坪ほどのイスラエル人プログラムの事務所で日々展開している出来事の、ほんの一部である。ここでは訪れる人々の家庭の状況を垣間見ることができ、具体的に祈ることができる。
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