
「神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、イスラエル人を、その行っていた諸国の民の間から連れ出し、彼らを四方から集め、彼らの地に連れて行く。」(エゼキエル37:21)
人間が人間に対して行った最大の大虐殺……。ナチスの迫害は、半世紀を過ぎた今もなお、私たち全人類の心に生々しく記憶されています。
ユダヤ人は、西暦70年にローマによって全世界に離散させられて以来、このような民族滅亡に関わる11回もの迫害を生き延びてきました。そしていつか、約束の地シオン(エルサレム)に帰還することを、毎年の過越の祭りごとに覚えて祈りました。
そして2000年後の1948年、彼らの悲願は叶えられ、世界はイスラエル建国の奇跡を目にすることになりました。このようなことは、歴史の後にも先にもありませんでした。なぜなら、「彼らを四方から集め、彼らの地に連れて行く」と約束された神ご自身が成されたからです。
■■パレスチナ問題■■
イスラエルという国は、国連総会の過半数の国々の承認によって建国されました。ユダヤ人がいきなりパレスチナに大挙して、平和に暮らしていたアラブ人を追い出した、急ごしらえの国ではありません。もともとは、オスマントルコの一部で、そこに独立したアラブ人の国があったわけではありませんでした。
当時、土地の大半は砂漠、もしくは伝染病のはびこる沼地という、荒廃したありさまでした。そこを1エーカー当たり、1,000ドル(当時、アメリカのよく肥えた土地がエーカーあたり100ドルだった)という大金を支払って、ユダヤ人たちが建国前から少しずつアラブ人の地主から買い足していったのです。
イスラエルが独立を宣言すると、アラブ世界が一丸となってイスラエルに戦いを挑んできました(独立戦争)。このときイスラエル政府は、国内に住んでいたアラブ人に「イスラエルの市民として、生命と財産を保障しますから、どうぞここにとどまってください」と使節を送って説得して回りました。しかしアラブ人たちは、「イスラエルに勝ったら、わが国の市民権を与える」というエジプトの約束を信じて、一部の人々を除き、イスラエルを出ました。
この戦争にイスラエルは奇跡の勝利を収めました。エジプトが出した約束が守られることはないまま、イスラエルを出たアラブ人たちは難民状態となりました。これが今日のパレスチナ難民問題の始まりです。やがて彼らの中から、ゲリラ戦やテロをもってイスラエルに犠牲を与えるテログループが活動を始め、いつの間にか「パレスチナの独立・解放運動」として世間に認識されるようになっています。
1993年の「オスロ合意」によって、パレスチナとの間に和平が成立したかのように見えましたが、2000年以降、パレスチナのテロが再び激化しました。以来、テロの痛みを知らない家族は、もうイスラエルのどこを探してもいないのではないかと思われるほど、生死の問題として日常化しています。
■■ 厳しい経済状況■■
「ユダヤ人は金持ち」――これが世界的な認識ですが、事実は、一部のユダヤ人が経済的に成功しているだけであり、現実には多くのユダヤ人が貧困にあえいでいます。
資源のないイスラエルは、農業、ハイテク産業、ダイヤモンド産業(研磨)、そして観光業によって収入を得ています。しかし、パレスチナ側からのテロの激化により、イスラエルから観光客の姿が消えました。結果としてホテルやレストラン、みやげ物店などが次々と店じまいしました。人口600万の小国から、影響はあっという間にあらゆる産業に波及しました。国全体が今、不況のどん底にあります。
一方で、テロの取り締まりとさらなる国防費のために、GDP(国内総生産)の55%が費やされるという現実があります(2002年度)。国として存続していくだけでも危機的な状況にありながら、イスラエルは、「世界にただ一つ、ユダヤが安心して暮らせる国」という信念に基づいて、ロシアをはじめとする百カ国以上の国々から、今なお移民を受け入れています。アメリカのような経済的に安定した国からでさえも、移民が増えています。
産業の低迷を受けて、失業率も一気に上がり、GNPも下落しています(2002年度は1%)。もとから欧米並みに物価が高く、貧しい人々の暮らしは大変でしたが、その数が一気に増えました。イスラエルに住む人々の5分の1が、日々の糧もままならないほどの貧しさの中に生きています。ゴミ箱をあさって飢えをしのぐ人々もいます。また、栄養失調を患う人々が急増しています。
■■人々の偏見と孤独■■
貧しさや不況、テロ以上にイスラエルの人々が苦しんでいるのは、誰も彼らの抱えている現実を分からないことではないでしょうか。誤った報道がまかりとおり、むしろ憎しみのまなざしを向けられている、という悲しみが国中に満ちています。
残念ながら世界のメディアは、イスラエルに対して偏った報道を行っていると言わざるを得ません。結果として、世界中でイスラエルに対する非難の声が高まっています。イスラエルと結び付けて、世界のユダヤ人たちもまた、反ユダヤ主義の標的となっています。 |